愛に似たもの 唯川恵

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「真珠の雫」
腹違いの妹がいる主人公の女性。自分の父親は女を利用することを厭わない男で、
自分たちと母親を捨てて逃げていった。
自分の美貌を利用することを厭わない女性に成長した主人公は、クラブのママになった。
しかし、母親と妹は、とことん人を疑わない「バカ正直者」だった。

「つまづく」
37歳の主人公はバツイチだった。
もう家庭はいらないと思う彼女の前に、若いかわいい男の子が現れる。
決して恋愛ではなく、この少年に彼女は無償の愛を注ぎ始める。

「ロールモデル」
高校の時からの女友達。主人公はいつも彼女に憧れ、彼女の意見を聞いてきた。
しかし、彼女の夫が亡くなって落ち込んでいる時に、初めて友達は自分の意見を聞き、
その通りに行動した。
ずっと今まで意見を聞き続けた自分が言う言葉の通りに動く友人に、主人公は優越感を抱き始める。

「選択」
かつて、自分は順風満帆の人生を歩んできたと自負する主人公。
しかし、結婚相手を選ぶ時だけ、「条件のよさ」に惹かれ、それまで付き合ってきた恋人と別れ
言い寄ってきた男と結婚してしまった。
そして、今はパートで働く日々。あの選択さえ間違えなければ・・・と後悔し続ける。

「教訓」。
いつのまにか34歳になって、自分だけが独身でいる主人公。
これまでの恋人とは、ささいなことがきっかけで別れてしまっていた。
そんな時、彼女に好意を持つ男性が現れた。
もう同じ失敗はできないと、これまでの恋愛を教訓に彼とつきあっていく。

「約束」
主人公は編集者で、同じ年代の女性イラストレーターと友人になっていた。
しかし、彼女は病に冒され、ベッドの上で仕事をするように。
そして、いつのまにか主人公は、彼女の夫と関係を持つようになってしまう。

「ライムがしみる」
主人公の女性は、久しぶりに昔良く通っていたバーに行ってみた。
そこのママは、彼女ととてもよく似ていて、それで気があっていた。
久しぶりの会話の中に、やはりママと主人公は良く似ていることを知る。

「帰郷」
主人公の女性は、母親の入院をきっかけに実家に帰ろうとしていた。
完全な亭主関白で、母親を酷使していた父を恨み、そして決して母親みたいな
女性にはならないと、彼女は家を飛び出してから、努力し続けて、自分なりの幸せを
掴んでいると思っていた・・・。


全部、読みやすい作品が並んでいます。
そして、どれもある意味バッドエンドの連続。
もちろん、主人公はデフォルメされているんですが、どこか自分の中にも主人公みたいな
気持ちがあることに気づかされるんじゃないでしょうか。

ただ、オチはやはりどこか読めてしまうことが多く、それが少し残念。
唯川さんらしい短編集です。


個人的5つ星:☆☆☆


彼方への日々 唯川恵

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自分を愛してくれる人と、自分が愛する人、どちらを取るか・・・というテーマの恋愛小説。


主人公は、23歳の女性。
プロポーズをしてくれる恋人もいるが、ある日芸術家という男に出会ってしまう。

その男に惹かれてしまう主人公。
が、男は色んな女と関係を持ち、それに対してまったく引け目を感じないような男だった。

なぜ、自分を愛してくれる今の恋人ではダメなのか?
主人公は、自分の中で葛藤していく。


普通に考えれば、自分を愛してくれる男を選んだ方が幸せだと思うのに、
気持ちはどうしても、自分を愛してくれる男を選んでしまう。

恋愛は追いかけられるよりも追いかけている方が好きという人の方が多いんでしょうね。

唯川さんの作品でも、そんな理屈じゃなくて気持ちのままに行動する女性が多いです。
誰もが奥底に持っている感情を、表していると思うんですが、
それがかっこよく見える人もいるでしょうし、ちょっと不快に思う人もいるでしょう。

この作品は主人公にわかるわかるという人と、バカだなあと思う人と二分されそうです。

そのテーマが全面に押し出されているこの作品。
読みやすいですが、あっさりしすぎているとも思います。


個人的5つ星:☆☆☆


今夜は心だけ抱いて 唯川恵

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親と子供の体が入れ替わる、SF+恋愛小説。


47歳の翻訳家。バツイチである彼女は別れてしまった娘がいた。
ある日、その娘を家で預かることになってしまった。
自分を捨てた親を毛嫌いする娘。
しかし、エレベーターでの事故によって、母親と娘の体が入れ替わってしまう。

2人は、いつか元に戻れるだろうと、それぞれ入れ替わって生活することに。


この作品が出版されたのは2006年。
書かれたのはもう少し前だとは思いますが、それでもベタベタな「入れ替わりもの」を
書きたかった理由はあるんだと思います。

でも、事故で体が入れ替わると言うのは、やっぱり興醒め。
その後のストーリーは、おもしろくはあるんですが、もう少し設定はいじくれたんじゃないかと
思ってしまいます。

だから、読んでいても「そんな風になるかあ?」と思うところがしばしば。
ちょっと残念な一冊でした。


個人的5つ星:☆☆


木洩れ日に泳ぐ魚 恩田陸

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ミステリー+恋愛小説というのでしょうか・・・。


引越しをする前日の男女。
明日には、2人は別々の道を歩き始める。
そんな最後の夜に、2人はこれまでの思い出話を語ることに。

しかし、2人の間には変な緊迫感が。
実は2人はかつて、一緒に登山に行った時にガイドの男が崖から落ちて死んだということがあった。
そして、この男を殺したのは実は目の前の相手ではないかとお互いが疑っていた。

何気ない会話をしながらも、相手の言葉を探っていく2人。
そして、2人は別れなければいけないある理由があった・・・。


恩田さんらしい、実験的作品。
1シチュエーション(引越し前の部屋)という限定された空間の中で、
お互いの視点で交互に描かれています。

その会話の中で、徐々に真実が明らかになっていく・・・という展開なんですが、
それは楽しく読むことができるんですが、登場人物の気持ちの変化が後半にかけて
ちょっと急になって、ついていけなくなるところがありました。

そして、その真実も最後まで読んでいまいちピンとこないところも・・・。
さらっと読んでおもしろいというよりも、もう2、3回読めばおもしろさがわかる。
そんな一冊のような気がします。


個人的5つ星:☆☆☆