この作品の中古本をチェックする(BOOKOFF)
伊坂幸太郎さんにしては珍しく、ストレートなメッセージ性が感じられた一冊。
物語は2部に分かれています。
1部の主人公は、親を失った兄弟の兄。
物事を常に深く考える彼に、ある日特別な能力が身につきます。
それが、「自分の思ったことを相手に言わせる能力」。
そんな彼が住む日本に1人の政治家が現れます。
彼は、アメリカからの自立を目指し、言いたいことはすべて言う政治家。
彼の登場で、日本で反米感情が高まり、国民全員がこれまでとは違った方向を目指すように。
主人公は、そんな日本、この政治家を恐れるようになる・・・。
2部の主人公は、1部の青年の弟とその妻。
1部の5年後の世界で、さらに日本はこれまでとは違った方向に進み、
憲法第9条の改変を目指して、「国民投票法」が制定されることに。
そんな中、この主人公にも「ジャンケンに絶対に負けない能力」が現れることに。
これまでの伊坂幸太郎さんの作品は、
結末に行くに従って、これまでの伏線が一気に明らかになっていくものでしたが、
この作品はそういうタイプの作品じゃありません。
そして、明確なオチもありません。
これまでの作品のようなものを期待すると、ちょっとスカされた感があります。
最後に「憲法やファシズムがこの本のテーマじゃありません。」と書かれていますが、
やはり、そういう政治的なことを考えさせる物語にはなっています。
この物語が掲載されたのは2005年7月。
そして、現在(2007年5月)、この物語の中で書かれていた「国民投票法」が
実際に可決されました。
そういう意味で、この物語で描かれているような世界が実際に起きていくんじゃないだろうか?
という恐ろしさを感じてしまうでしょう。
憲法第9条に対する色んな考え方、集団心理の怖さなどが書かれたこの小説は、
そういうものに関心がある人にはおもしろく感じるでしょうが、
そうじゃない人には、なんか難しいなあと感じると思います。
個人的5つ星:☆☆☆