バスジャック 三崎亜記

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ちょっと星新一を思わせる、SFショートショート集。
ですが、星新一を読んだことがないならいいんですが、好きな人はちょっとこれじゃ物足りないかも。


「二階扉をつけてください」
回覧板で、「二階扉をつけるように」と回ってきた。
最近越してきた主人公の男性には、なんのことだかわからないが、周辺の家を見ると、
みんな二階になぜか無意味に見える扉がついていた。
近所の手前、二階扉をつけることにするのだが・・・。

「しあわせな光」
とある青年が、ある丘から家を見ると、過去の自分の家族が見えることに気がついた。

「二人の記憶」
つきあってしばらく経つカップル。しかし、彼と彼女の過去の記憶が徐々にズレが生じてきた。

「バスジャック」
バスジャックが流行した時代。きちんとした手続きを踏んでバスジャックが行なわれるようになった。
そして、主人公はバスジャックに遭遇する。

「雨降る夜に」
主人公の部屋に、ある雨の降る夜に若い女性が本を持ってやってきた。

「動物園」
珍しい動物を飼うことが難しい時代。自分が想像した動物を客に”本物”として見せる企業が誕生した。
そこで働く主人公の女性が、動物園からの依頼を受けて仕事に行くのだが。

「送りの夏」
ある日、主人公である小学生の女の子の母親がいなくなった。
母親の後を追って、行ってみるとなぜかそこでは人形のようなものを人として扱う
奇妙なアパートだった。


ちょっと長めのものから、2ページほどで終わるものまで様々。
設定はおもしろいものが多いんですが、こういうものに不可欠なオチが個人的に物足りなかったです。
話としては難しくはないので、気軽に読める一冊です。


個人的5つ星:☆☆☆


君たちに明日はない 垣根涼介

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サラリーマン小説。
平成17年、第18回山本周五郎賞受賞作品。


33歳の主人公が働いているのは、「リストラ会社」。
企業の依頼を受け、その企業の社員を面接し、一定以上の人間に依願退職を勧めるのが
彼の仕事だった。
怒る人、泣く人、すがりつく人、色んなリストラ候補者がいる中で、彼は自らのポリシーを持って
仕事を行なっていたが、そこには色んな人間ドラマがあった。

そんなオムニバス形式の物語。

「1.怒り狂う女」
ハウスメーカーの企業から依頼され、リストラ面接を請け負うことになった主人公。
そこで面接相手だった8つも年上のバツイチ女性に徐々に惹かれていく。

「2.オモチャの男」
玩具メーカーの企業から、依頼を受けた主人公。その開発部門にいたおたくな男は、
これまでとはまったく違ったリアクションをしてきた。主人公はこの男に振り回される。

「3.旧友」
メガバンクのリストラを請け負った主人公。そこのリストラ人員にかつての同級生がいることに気づいた。
仕事だからと、まったく私情を挟まずに淡々と面接をこなしていく。
が、相手もまた面接官が同級生であることに気づいていた。

「4.八方ふさがりの女」
自動車会社のコンパニオン部門を担当することになった。
28歳のコンパニオンは貯金もない男と付き合っていて、結婚することもできない。
そして、実家のみそかつ屋では、そこで働く誠実な従業員の男と結婚して欲しいと願っていた。
どこに進むこともできない八方ふさがりに陥っていた。

「5.去りゆくもの」
レコード会社から少し変わった依頼を受けた。
取締役2人のうち、リストラする人をどちらか選んで欲しいというもの。
彼は、とある方法で選択することを決意した。


リストラを進めていく話術や、リサーチの仕方は、「なるほど」と興味深く読めました。
仕事を奪われるという、人生の転機に起こる人間ドラマはそれぞれおもしろかったんですが、
その合間に入る、主人公の恋愛ストーリーがちょっと邪魔くさいものでもありました。

会社で働く人なら、面白く読めると思います。


個人的5つ星:☆☆☆☆


コールドゲーム 荻原浩

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ホラー系推理ミステリー小説。
荻原浩さんの中で、笑いやユーモアが完全に無いタイプの一冊です。


高校3年生の主人公の少年。
彼は、友人から、中学の同級生が通り魔に襲われたことを聞く。
それからも、中学の同級生たちに中傷ビラが撒かれたり、カッターで襲われたり。

襲われた者たちには、事前に脅迫めいたメールが届いていた。
その内容から、主人公とその友人は、中が宇治代いじめられっ子だったトロ吉であると
目星をつける。

そして、彼らはトロ吉の行方を捜し始めるのだが・・・というお話。


元いじめられっ子が復讐にやってくるパターンは、さほど珍しいものではありませんが、
荻原浩さんの描くキャラクターたちがはっきりしているので、
ドキドキしながら読むことができました。

最後のオチも意外性に富んでいて、そう来たかと思わせます。

いじめ問題が絡んでいるだけに、切ない気持ちになりますが、読んで損は無い一冊でしょう。


個人的5つ星:☆☆☆☆


黄昏の百合の骨 恩田陸

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推理ミステリー小説。


主人公は、高校生の少女。
イギリスに住んでいた彼女は、
「半年間、孫が住まない限りはこの屋敷を売ってはいけない」という
突然亡くなった祖母の遺言のために、日本へ帰ってその屋敷に住むことになった。

その屋敷は近所で「魔女の屋敷」と言われていた。
彼女と一緒に住むことになったのは、叔母姉妹。
この2人もまた癖のある人たちだった。

そして、彼女は遺言の意味、そしてこの屋敷に隠された謎に迫っていく・・・というお話。


最初は、謎めいた表現が多く、読むのに時間がかかりましたが、
途中からは様々な展開が生まれ、どんどん読み進めることができました。

徐々に謎が明らかになっていくというよりは、最後の数ページで一気に話が展開していきます。
そういう意味では、クライマックスは気持ちがよかったんですが、
じっくりと読むタイプの人だと、少し結論に違和感を感じるかもしれません。

正当な恩田陸ワールドが広がる一冊だと思います。


個人的5つ星:☆☆☆☆


玉蘭 桐野夏生

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※どちらも文庫です。中身は同じなので安いほうをどうぞ。



恋愛小説というか、生き方小説というのか・・・。


恋人と別れ、上海にやってきた30歳の女性。
しかし、そこでもまたうっとおしい日本人同士の人間関係が存在した。
そんな時に現れたのは、大叔父の幽霊。
彼もまた、上海でその人生を送っていた。


とにかく、色んな時代の色んな人が視点で物語が語られます。
主人公の女性、船乗りだった大叔父、その妻、女性の彼氏・・・などなど。
時代をいったりきたりするので、いったいなんの話をしているのかわからなくなる時が
しょっちゅうありました。

また、途中で物語は1920年代の上海に飛びますが、あまり時代背景がわからずに
読み進めてしまいました。

文学的、歴史的には意味のある一冊かもしれませんが、軽い気持ちで読むぶんには
いったいなにが言いたいのかよくわからなかったです。

ライトな読者にはおすすめできません。


個人的5つ星:☆☆