フェイク 楡周平

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クライム(犯罪)小説の部類に入るんでしょうか。

大卒でも就職先の無かった主人公の成年が、なんとか決まった飲食店経営会社。
しかし、それは銀座の高級クラブだった。
そこで、新米ボーイとして働くが、キツいわりに給料は低い。
そんな時に、年収1億というママの運転手をすることに。

しかし、それをきっかけにそのママから色んな危ない仕事を依頼されるようになる。


こういう裏社会をネタにした作品は多いですが、これはその中でよく言えば読みやすい。
悪く言えば、展開が読める。
そんな一冊です。

ハードボイルド系の入門書といったところでしょうか。
一応、最後に大仕事が控えていて、山場はあるんですが、「なるほどな」といったところ。

文章力があるので、読むのに苦はありませんが、読み終わった後にさほど印象に残りませんでした。


個人的5つ星:☆☆☆



投資アドバイザー有利子 幸田真音

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完全に売り方を間違えてしまった感のある一冊。


主人公は、証券会社でアドバイザーとして働く女性。
同僚は、自分の成績を上げることだけを考え、とにかく売り込みまくるが、
主人公は、「客に損をさせたくない」と、本気でアドバイスを行なっていた。

そんなある日、1人の老人が「2500万を1週間で倍にしてほしい」と言ってくる。
当然、断る主人公だったが、結局老人に折れ、なんとかアイディアを考える・・・。


「投資アドバイザー」というタイトル。「読むとお金持ちになれる?本」という帯。
株式投資に興味を持った人に、売り込みたい気持ちはわかりますが、
中身はあまりにもかけ離れています。

非常にライトな展開で、エンターテインメント小説としては読めるのですが、
決して株の裏側や証券会社の裏の顔が見えるというほどではなく、
逆に株や投資というものにさほど興味が無い人の方が楽しめると思います。

よくある、マジメな女性が会社で成績を上げていく・・・というタイプの小説なので、
驚くような展開もありませんが、その分あっさりと気軽に読める一冊です。


個人的5つ星:☆☆☆



富豪刑事 筒井康隆

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昭和53年に発表されたにも関わらず、今なおおもしろく読めるコメディーミステリー。


主人公の若手刑事は、大富豪の孫(男性)。
この大富豪は、かつて悪事で巨万の富を得たが、老人になってむなしくなり、
正義のために、孫にいくらでも財産を使ってほしいという。

高級車に乗り、葉巻を吸っているこの若手刑事は、事件を担当する時、
そのお金を湯水のように使って、事件を解決していく。


非常にわかりやすい設定ですが、読者の期待を裏切らない展開が待っています。

テレビでは、深田恭子演じる女性の富豪刑事ですが、元々小説では男性。
この富豪刑事と、その家族が非常にいいキャラクターをしていて、
色んなところでニヤリとさせられてしまいます。

事件を推理する楽しみというよりも、どういう風にお金を使っていくのかを
楽しむことができ、いくつかの事件のオムニバスになっていますが、
読後感はすっきりとしたものがあります。

年月が経っても、おもしろいものはおもしろいということを証明してくれる作品です。


個人的5つ星:☆☆☆☆



■テレビドラマ・・・2005.1~3、2006.4~6、テレビ朝日系で放送。出演:深田恭子、山下真司など。

博士の愛した数式 小川洋子

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第1回(2004年)本屋大賞受賞作品。


主人公は、ホームヘルパーをしているシングルマザー。
彼女が新たなに派遣された先は、1人で暮らす元数学教授の家だった。

彼は、かつて交通事故に会い、それから80分しか記憶を保つことができない体になった。
80分より以前の記憶はすっかり抜けてしまう・・・。
そんな彼の家を訪ねているうちに、彼の強い勧めで小学生の息子をこの家に連れてくることに。

子供が大好きな彼は、息子に数字のおもしろさを教えていたが、息子もまた彼を慕うようになっていく。


ほのぼのした気持ちになれる一冊。
ベストセラーになったこともあり、裏表紙には「あまりにも悲しく暖かい、奇跡の愛の物語」などと
書かれていますが、そういった話を期待して読まないほうがいいと思います。

よく、ベストセラーになった有名な作品は、「どれだけおもしろいんだろう」と期待するあまり、
なんか、おもしろく感じなくなってしまうということがありますが、
この本も、そこまで「感動したい!」とか「衝撃を受けたい!」と思わずに、
なーんとなく読めば、心に残るものがあるでしょう。

決して、号泣できるとか、すごい結末が待っているとか、そういう類の作品じゃありません。
読んでいるうちに、優しい教授のセリフや息子の行動に、心がじんわりと暖かくなる。 そういう物語です。


個人的5つ星:☆☆☆☆



■映画・・・2006.1公開。監督:小泉堯史。出演:寺尾聰、深津絵里、吉岡秀隆など。



■マンガ・・・2006.2発売。作画:くりた陸。

都立水商 室積光

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コメディー青春小説。

東京都が新たに「水商売」に関する専門教育を行なう、「東京都立水商売商業高校」を設立。
ホステス科、ソープ科、ホステス科など、ありとあらゆる風俗業のプロを目指し、生徒たちが入学してきた。

世間に色眼鏡で見られる中、生徒たちは世の中の偏見を無くそうと、一生懸命プロを目指していく。


とにかく、設定がすべてといってもいいでしょう。
それだけで興味をそそられ読んでみましたが、下品な部分は少なく、
笑いがたっぷりの気持ちいい青春小説になっています。

先生や生徒たちのいろんなエピソードが絡み合って、学校自体が成長していく姿を描いていて
楽しく最後まで一気に読んでしまいました。

かなりライトな本ですが、最近本を読み始めた人や、気軽に読める本を探している人に
読んでもらいたい一冊です。
女性でも、抵抗無く読めると思います。


個人的5つ星:☆☆☆☆


■テレビドラマ・・・2006.3、日本テレビ系にて放送。出演:藤井隆、ベッキー、竹中直人 など。
          小説と違い、他の高校を退学になった女子生徒が、この水商に転校してきたという設定。



■マンガ・・・2003年からヤングサンデーにて連載中。最新刊~15巻(2007.4現在)作画:猪熊しのぶ。
       青年誌のため、小説よりも性表現に特化している。