スローグッドバイ 石田衣良

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石田衣良さんの初の恋愛短編集。
この後に、「1ポンドの悲しみ」「愛がいない部屋」と、続いていきます。

この短編集は「別れ」をテーマにしてはいるんですが、すべてが失恋話というわけでもありません。

ごくごく普通の話もあれば、ちょっと設定にヒネリが効いた作品もあり、バラエティーに富んでいるんですが、
ちょっと展開がストレートなものが多かったのが残念。
オチに少しでも意外性があれば、スッキリできたんですが。


「泣かない」
主人公は、人のいい若き会社員。ある日、友人の彼女から泣きながら電話がかかってきた。
彼氏(主人公の友人の男)から、別れを告げられたという。

「十五分」
ゼミの飲み会で出会った彼女と、自然と体の関係になっていた。
それはお互いに、最高の相性だったのだが・・・

「You look good to me」
チャットで出会った「アヒルの子」は、自分の顔が醜いと言う。
そんな彼女と、主人公の男性はオフ会で出会うことになる。

「フリフリ」
恋愛が億劫な20代後半の男性。しかし、おせっかいな友人の紹介である女性と出会う。
そんなおせっかいから逃れるため、2人は「付き合ってるフリ」をすることになった。

「真珠のコップ」
ある日、突然会社員の主人公はデリバリーヘルスに通うことにした。
それから、彼は毎週その女性を指名するようになっていった。

「夢のキャッチャー」
ずっと付き合っている彼女はシナリオライターを目指していた。
うまくいくわけないと思う彼氏とは裏腹に、徐々に彼女が認められていく・・・

「ローマンホリディ」
とある掲示板に書かれていた「私とローマの休日しませんか?」と書き込み。
そこにメールを送った主人公の男性は、相手とメールのやりとりをするようになる。

「ハートレス」
彼氏と3ヶ月のセックスレスを気にする27歳の女性。
彼女は、久しぶりに彼とベットを共にしようと作戦を練る。

「線のよろこび」
才能のある男性に惹かれ、彼の才能が認められると冷めてしまう30歳の女性。
そんな彼女は駅に張られていたポスターに、才能を見出す。

「スローグッドバイ」
長年付き合っていたが、別れを迎えた1組のカップル。
そんな2人が「さよならデート」をするために再び出会った。


どれも気楽に読めるので、簡単な本を読みたいときにはいいと思いますよ。


個人的5つ星:☆☆☆


1ポンドの悲しみ 石田衣良

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「スローグッドバイ」に続く、恋愛短編集。

この前の「スローグッドバイ」。この後の「愛がいない部屋」と比べても、
個人的に僕は一番この作品集が好きです。

設定に少しヒネリがある作品が多く、それが最後に活きています。
なので、どうなるんだろうとワクワクしながら読むことができました。

すべてのテーマは、30代の恋愛。どちらかといえば、女性が主となっています。

恋愛や結婚、仕事といった、色んな要素が絡み合う、30代の恋愛。
もちろん、10代・20代でも楽しく読めると思いますが、30代以上の人に読んで欲しいと思います。


「ふたりの名前」
同棲中のカップル。彼らには、どんなものにも所有権をはっきりさせるために名前を書いていた。
そんな2人の家に、子猫がやってくる。

「誰かのウェディング」
とある男性が友人の結婚式で出会った、1人のウェディングプランナー。
彼女の口から、意外な事実を知る。

「十一月のつぼみ」
結婚して7年目の主婦。彼女は花屋さんで働いていた。
そこに、毎週花束を買いに来る男性が現れた。

「声を探しに」
33歳の経理の女性。ここ数年、恋愛とは離れていた。
そんな彼女がある日突然声が出なくなってしまった。

「昔のボーイフレンド」
営業で働く30代半ばの女性。
彼女がふと思い出すのは、6年付き合ったモト彼だった。

「スローガール」
ずっと自由でいたいと、バーに一晩だけの関係を求めて足を運ぶ33歳の男性。
彼がある日、バーで出会ったのは、言葉をゆっくりとしか話せない女性だった。

「1ポンドの悲しみ」
遠距離恋愛をしている30代のカップル。
1ヶ月に1度しか会えない彼らは、1日だけ深くつながっていく。

「デートは本屋で」
本が好きな人としか恋愛できない30代の女性。
彼女は久しぶりに本が好きな男性と出会うことができた。

「秋の終わりの二週間」
33歳の妻と、49歳の妻。
先に誕生日を迎える妻と15歳差になる2週間を、夫は心待ちにしていた。

「スターティング・オーバー」
元々同僚だった2人の女性と1人の男性が30代になって久しぶりに再会した。
そのうち1人はこの1年、恋愛断ちをしていたという。


「スローガール」がなんか心が暖かくなって個人的に好きですね。
短編なので、少しずつ本を読む人にもオススメです。


個人的5つ星:☆☆☆☆


下北サンデーズ 石田衣良

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小劇団のシンデレラストーリー。
本当にこれだけで言い表せる小説です。


主人公は、高校を卒業して東京の大学に入ったばかりの美少女。
そんな彼女が、一番最初に見た芝居に引き込まれ、小劇団「下北サンデーズ」に加入する。

彼女が入った途端に、10年間陽の目を見なかった弱小劇団が徐々に注目を集め始めるが、
金にまみれた人たちに囲まれるにしたがって、人間関係に変化がおきていく・・・というお話。


下北の劇団事情がよく表せているので、まったくそういう方面にうとい人には、
きっと「へ~そうなんだ」と、面白いと感じるでしょうし、
逆に詳しい人には、「こんなもんじゃないけど・・・」と思うかもしれません。

個人的な不満としては、モデルがわかりやすすぎること。
大人計画がこども企画になっていたり、毛皮族が脱皮族になっていたり。
時代が変われば古いと思うようになってしまいそうです。

石田衣良さんの作品なだけにスピード感はありますが、ちょっと展開が一方的。
ただ、読みやすいことは間違いないので、それほど期待せずに読んでみて欲しいと思います。


余談ですが、Wikipedia「下北サンデーズ」に、この作品ができるきっかけが書かれていました。

「石田衣良が記しているところによると、藤井フミヤのアルバム『奇妙な果実』のプロモーションビデオ
おまけ映像として撮影された、藤井、プロモーションビデオ監督の堤幸彦、アルバムに詞を提供した石田の
3人による座談会がきっかけ。
座談会の場で、3人の共同プロジェクトによるドラマを作ろうという話が出た。
その直後、石田が小説の連載を始めることになり、座談会の場で話題になったドラマの原作になればいいなという
つもりで、藤井・堤と共同でコンセプトを作った。
そこで下北沢の劇団事情を語り合う際に出たアイデアを元に生まれた連載小説が『下北サンデーズ』である。
従って、『下北サンデーズ』原案者には石田・藤井・堤が連名でクレジットされている。」

なんとなく、話が一直線なのは3人の話し合いによって作られたからなんでしょうか。


個人的5つ星:☆☆☆


■TVドラマ・・・2006.7にテレビ朝日系列にて放送。出演:上戸彩 、佐々木蔵之介など。



■マンガ・・・2007.1発売。作画:克間彩人。

銃とチョコレート 乙一

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児童向け、推理小説。
でも、「乙一作品」と思えば、大人でも意外と面白く読むことができます。


架空の国が舞台。
そこには、怪盗ゴディバが現れ、お金持ちから様々な宝物を盗んでいました。
それを捜査しているのが、探偵ロイズ。
ロイズは、国民みんな、特に子供たちからは憧れの的でした。

ある日、この国に住んでいる1人の貧乏な母子家庭の少年リンツが、1枚の地図を発見します。
それは、怪盗ゴディバが残した地図でした。
さっそくリンツは、ロイズに手紙を送ったんですが、それが事件を巻き起こすきっかけとなりました。


さすが、乙一さんの作品だけあって、どんでん返しがいっぱいあります。
オチもきっちりありますし。
また、勧善懲悪ではないところも、子供向けの本としては新しさを感じます。

ただ、あくまでも「子供向けの話」にしては読めるということで、
乙一ファンなら読んでも損は無いと思いますが、大人にあえてオススメするものではありません。
価格も定価2100円と、結構しますし・・・。


個人的5つ星:☆☆☆☆


灰色のピーターパン (池袋ウエストゲートパーク6)

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「池袋ウエストゲートパーク」シリーズの第6作。

まずはこれまでの池袋ウエストパークシリーズを読んでから、この作品を読んで下さい。

今回もまた、様々なトラブルを主人公・マコトが解決していきます。

まあ、相変わらず面白いんですが、依頼→警察・ヤクザ・ギャングを使った解決という流れが
ほとんどだったので、ちょっとだけ残念。
違うパターンの作品が1個でもあると、また違ったと思うんですが。


「灰色のピーターパン」
今回の依頼は小学生。違法DVDをネットで販売する頭のいい小学生ですが、
それを先輩に知られ、強請られている。
解決しようと思ったら、そこにさらに余計な人物が・・・。

「野獣とリユニオン」
かわいい女の子が依頼してきたのは、とある人物を痛めつけた欲しいというもの。
その人物は、女の子の兄に強盗を働き、少年院から出た人物だという。
しかし、調べていくうちに意外な事実が明らかになる。

「駅前無認可ガーデン」
ギャングのトップ・キングに連れられて行ったのは、元ギャングのトップがやっている、
無認可の保育園だった。
そこで依頼されたのは、とある人物の濡れ衣を晴らして欲しいというものだった。

「池袋フェニックス計画」
池袋を安全な街にしようと、警視庁がフェニックス化計画を立ち上げた。
実際、外国人や風俗がどんどん摘発されていき、徐々に池袋に活気がなくなっていった。
その時、1人の女子学生がマコトに依頼にやってくる。
石原都知事へのアンチテーゼ?

今回は、さほど重い話はないので、気楽に読めると思います。
マコト節も健在です。


個人的5つ星:☆☆☆☆


■TVドラマ・・・2000.4にTBS系にて放送。脚本:宮藤官九郎。
        出演:長瀬智也 加藤あい 窪塚洋介 山下智久 坂口憲二 妻夫木聡など。
        「スープの回」は2003.3にTBS系にて放送された特別編。メンバーのその後を描いている。



■マンガ①・・・2000、「ヤングチャンピオン」で連載開始。作画:有藤せな。全4巻。



■マンガ②・・・2006、「週刊少年マガジン」で期間限定連載。作画:朝基まさし。