リアルワールド 桐野夏生

powerd by amazon360
この作品の中古本をチェックする(BOOKOFF)



主人公は、高校三年生の女の子。
普通に受験し、普通の高校生活を送っているが、なんか面白くない。
友達ももちろんいるが、心のどこかで友達を演じている自分を感じている。

ある日、隣の高校生が自分の母親を撲殺して逃走したことを知る。
そして、なぜか彼は主人公の携帯に連絡を。

つまらない日常に差し込んだスリルに彼女とその友達は逃走の手伝いを始める・・・
というお話。

「高校生の心の闇をえぐる長編問題作」。(裏表紙より)

と、ありますが、どこかニュースで事件を起こす一部の高校生を取り上げて、
さも、ほとんどの高校生が同じような感覚を持っている・・・と、
勝手に描かれている気がします。

ま、あくまで個人的ですが、この作品に出てくるような高校生が、タイトルのように
「リアル」なのか、ちょっと僕にはわかりません。

それはそれとして、登場人物の行動がみんな少し突飛なので、
感情移入はしづらいかもしれません。

同じ意味で、展開も突飛なので少し頭に疑問が沸いたまま、最後まで読んでしまいました。
他の桐野さんの小説を読んでから、この小説に手を出したほうがいいと思いますよ。


個人的5つ星:☆☆


■マンガ・・・2007.3発売。作画・イシデ 電。

約束 石田衣良

powerd by Amazon360
この作品の中古本をチェックする(BOOKOFF)



7つの感動系作品のオムニバスストーリー。
簡単にいえば、「ええ話やな~」といえる物語が詰まっています。

若干ベタなストーリー展開のものも無くはないですが、
それでも流れるような文章で一気に読むことができますよ。

人によって、1番好きな作品は変わるとは思いますが、
最低1つはお気に入りのショートストーリーがあるでしょう。


「約束」
主人公は小学生の男の子。
彼には、クラスでもヒーロー扱いされる親友がいた。
が、その親友が自分をかばって交通事故にあったことから、彼は苦しみ始める・・・。

「青いエグジット」
主人公の中年のおじさんには、足が不自由な19歳の息子がいた。
彼は、事故で片足を失ってからわがまま放題になってしまう。
そんな無気力だった息子がある日、スキューバダイビングに興味を持ち始める。

「天国のベル」
主人公は未亡人。10才になる彼女の息子がある日突然、耳が聞こえなくなってしまう。
病院に行っても、理由はわからず。
ところが、その息子はなぜか電話のベルだけは聞き取ることができるという。

「冬のライダー」
高校生の主人公は、最近モトクロスバイクを始めたばかり。
ヘタなのを承知で、川原で練習をする日々。
ある日、彼は「しょうがないへたっぴだね」と、1人の女性に声をかけられる。

「夕日へ続く道」
主人公は中学生の男の子。
彼は、みんな同じ制服を着て、同じ学校に行くことに疑問を抱いている。
そんな彼が学校をさぼっている時、廃品回収業者のおじいさんに出会った。

「ひとり桜」
カメラマンの主人公は、毎年ある1本の桜の写真を撮り続けていた。
今年もその桜を撮りにいくと、そこには見慣れない1人の女性が。
その女性は、彼がかつて撮った桜の写真を持っていた。

「ハートストーン」
どこにでもいる普通の幸せな3人家族。
ところがある日、10歳の1人息子が脳の病気にかかってしまう。
その日から家族での闘病生活が始まる。


どれも読後感のいい作品です。


個人的5つ星:☆☆☆☆


さみしさの周波数 乙一

powerd by amazon360
この作品の中古本をチェックする(BOOKOFF)



4本の短編が収録されています。
すべて、「白乙一」と言われる方の、切なさを描いた作品たち。

残念なのは、うち2本は「失はれる物語」に収録されています。
ま、どちらかといえばこちらが先ですが。
でも、乙一さんの短編はすべて読みたいので、改めて全部読みました。


「未来予報」
小学校にやってきた転校生は、未来が予報できる少年だった。
その彼が1人の少女と主人公の少年に向かって「お前ら結婚するぜ」と予報。
そこから関係がギクシャクしたまま、時は過ぎていき・・・。


「手を握る泥棒の物語」
とある旅館に泥棒に入ろうとした青年。
彼は隣の部屋からドリルで穴を開けてバッグを盗もうとしたが、
うっかりその部屋にいた女性の手を握ってしまう。
離したら助けを呼ばれるために、離すに離せない状況に。


「フィルムの中の少女」
1人の大学生の女の子が見つけた8ミリフィルム。
そこに一瞬後ろを向いた女の子が写っていた。
が、何度か見るうちに、そのシーンの女の子が徐々にこちらを振り向いていく・・・。
ホラーかと思いきや、実はホラーでは無い作品。


「失はれた物語」
1人の結婚している男性が、交通事故で動けなくなってしまった。
唯一動かせるのは、指1本だけ。
その指の動きだけで、妻と会話をする。


どれも、設定が「さすが乙一」と思わせるものばかり。
読後感のよさもまた天才的です。

表紙のイラストが子供っぽいのですが、中身はもちろん大人でも楽しめます。
というよりも、大人のほうが楽しめる作品もあったり。

短いので、スラっと読めますが、本当に1時間くらいで読めてしまうかもしれません。


個人的5つ星:☆☆☆☆


■ネットドラマ・・・「手を握る泥棒の物語」を映像化。
          2004ウェブ公開。監督:犬童一心。主演:内山理名、忍成修吾など。

ロミオとロミオは永遠に 恩田陸

powerd by amazon360
powerd by amazon360
この作品(上)の中古本をチェックする(BOOKOFF)
この作品(下)の中古本をチェックする(BOOKOFF)



恩田陸さん自身、あとがきで「タイトルの意味は思いつきません」と
書かれているように、タイトルからはまったく中身が想像できない作品。

少年2人を主人公にした、学園SFファンタジー小説というものでしょうか。


舞台は、未来の日本。
20世紀に汚染の限りを尽くした結果、地球はほとんどの人間が住めなくなり、
日本だけが残されて、他の国は移住してしまいます。

そして退廃した日本では、唯一「大東京学園」と呼ばれる高校を主席で卒業することが、
エリートへの道となっていました。

そこは勉強よりも体力や生き残る力が試される学校。

そこに入学した2人の少年。
片や、かつて自分の兄もこの学校に入学したものの脱走してしまい、その行方を捜している少年。
片や、超美少年ながらクールでなにか過去をもっていそうな少年。

そんな彼らがこの学校に入りますが、そこはとんでもない学校だった・・・というお話。


近未来の設定ながら、20世紀の流行や事件が数々登場します。
いうなれば、この作品はそんな20世紀をパロディーにすることが
恩田さんの”仕掛け”なんでしょう。

設定が面白いので、どんどん読めてしまいますが、登場人物が多く、
それがイマイチ全員頭に入ってきません。

結構なボリュームの作品ですが、これが半分くらいでまとまっていたら、
もっと読みやすかったのになという感じがします。

オチもさほど期待しない方がいいでしょう。

それでも、30代以上ならそこそこ楽しめる作品だと思います。


個人的5つ星:☆☆☆


アフターダーク 村上春樹

powerd by amazon360
この作品の中古本をチェックする(BOOKOFF)



村上春樹さんの作品は、なかなか手に取ってこなかったんですが、
売れているということで、読みやすいのかなと思い買った1冊。

・・・が、正直難解な1冊です。

夜中から、夜が明けるまでの出来事を書いたこの本は、
あらすじを書けるものではありません。

そして、何が伝えたかったのか、じっくりと本を読むタイプではない僕には
わかりませんでした。

でも、当然中身が無いわけではなく、それを文学的に表現しようと
しているので、僕にはいまいち伝わらなかっただけと思います。

ライトな読者にはとてもオススメできません。

この本を読んで、「すごくいい本だった」と言う人と、
「やっぱり本は難しい」と敬遠してしまう人がいる気がします。


個人的5つ星:☆